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出展者紹介・黒田有里


出展者紹介② 以前、象設計集団の記事を読んだとき、公共の建物を作るとき、私たちが大切にするのは、ひとりぼっちになった子が、居心地のいい場所を作ることを大切にし ています。というような記事を読みました。小学校を作るとき、学校の中の階段の下のスペースがとても日当たりがよく、一人用のベンチを置くというようなイ メージだそうです。社会という全体の中で、大きな流れを公共と捉えるのではなくて、小さなものを救済するというのが公共なのかなと、その記事を読んだと き、はっとしました。 私たち手でものを作る者にとって、とても大切な考えだなと思います。 今回紹介する黒田有里さんはぬいぐるみ作家です。 一度、何故ぬいぐるみを作るのか?どのような方が黒田さんの作品を見に来るのかなど話をしたとき、自分自身の救済だし、そこに共感してくれる人が、ずっと ファンでいてくれるとおっしゃっていました。その話をしているとき、なぜか象設計集団の話とかぶり、森の中にそんな場所ができればと声をかけさせていただ きました。雨が降らなければ、涙ちょちょぎれる展示が展開されると思います。

①ぬいぐるみを作り始めたきっかけを教えてください。

もともと針と糸をつかってつくることが好きだったのですが、 体調が悪くて寝込んでいたときに、 ベットの脇にはってあったポストカードの中の、 首と胴体の境目がない、とっても不格好な外国の古いくまちゃんをみて、 こういうのが欲しい!と、突然思ったのがきっかけです。 たぶん、くまちゃんを手にすることで絶対的な安心感がほしかったのかなぁ、、と、思いますが、 探してもそんな子はどこにもいなくて、作ることにしてから数十年、 本当にあるのかもわからないその安心感には未だにとてもとてもあこがれています。 でも作ることでずいぶんと助けられているのは確かです。ありがたいです。

②黒田さんの展示を見ていると、ただのぬいぐるみをつくる作家というよりは、社会的なメッセージを感じるのですが、横須賀美術館での展示のコンセプトなどございましたら、教えてください。

残念ながらわたしはひたすら自分のなかのちいさいちいさいことがらをどうやら形にしているようで、 社会的なメッセージを発信しよう、などとは特に意識した事はありませんが、 こんなわたしも、こっそりと、一応存在している、できている、この社会、という意味では、 もしかすると何かを発信できているのかなぁ??とは思います。

横須賀美術館の展示は『とても無視、できない』という題名の、 おおきいくまちゃんが660体のビニールに入った人形に囲まれているという作品でした。 さまざまなざわつきの中でも、注意深く自分の感情や感覚に耳を傾けたり、無視しない、 っていうことをあたりまえにできていないことに気付いた自分が、 たったいま見ている景色を、表現しました。 変化を期待したのです。とてもとても大事な事だと思うので、、。

③今回、雨が降らなければ、森の中でくまちゃんのインスタレーションをするということですが(雨の可能性がある場合はカブトムシの小屋)くまちゃんのストーリーを教えてください。

今回の展示の前に、2度ほど、横須賀美術館後のくまちゃんの様子を示す展示をさせていただきました。 耳をかたむけた結果、どうなっちゃったのか、 おこった事柄についてのくまちゃんの反応や祈り、などなど、です。 今回はさらにその後。 森の中のくまちゃん。 くまちゃんはまだベッドの上にいて、 ぼーっとしています。 ぼーっとしていても頭の中はくるくるで、 いろいろなところに意識はとんでいるのかもしれません。 病院や、お部屋から、意識は無自覚に飛んで行き、 意識だけではなく時にはにくまちゃんまでもが、どこにでもいってしまうのかもしれない。 わたしたちはそれを偶然にも目撃しちゃった!みたいな展示になればと思います。 イメージは葉っぱと葉っぱの間にある、目を凝らした先に広がる蜘蛛の巣のふわふわな世界。 大きいけれど目を凝らす必要があるような、 森の中にくまちゃんがいることがとても自然なことのような、 怪しいことのような、そんな風に映ったらステキです。 森の木や風や木漏れ日に出会うのがいまからとても楽しみです。


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